失点シーンのハイライト

しかも打席に親を立たせて。親に成長した姿以外を見せるなんて本当に最低だ。本当に本当に最低だ。

 

俺はマウンドに立ちボールを投げずに持ち続けていた。(野球が分からない人には申し訳ない)

今になって思えばただの遅延行為だ。だけどその渦中にいる時はルール違反ではないと少し開き直っていた。多くの人たちに迷惑をかけた。なにもかも先延ばしに先延ばしにした。

特にタチが悪いのが相手を選んでいたことだ。そもそもボールを持ったまま投げないのは打たれるのが怖いから、打席に立つ人をチラ見しては遅延行為を繰り返してきた。一見の実力の分からない相手には一球も投げられなくなった。

俺の投げるボールはへぼだ。簡単に打ち返せる。俺は一流のプレーヤーにはなれない。だから予定調和を楽しんだ。俺のヘボボールを気持ちよく打つ代わりに俺にも簡単に打ち返せるボールを投げてくれる友達と仲良くした。それは楽しかった。でもいつか、全く成長しない俺と少しづつ成長していく友達には気持ちのズレが生まれてくる。

疎遠になる、それは仕方ない。いつだって誰にだって起きうることだから。

ただ問題は打席に立ってくれる人が減っていくこと。さらに出合い頭で一発を打たれたら嫌な相手が増えていくこと。人生はマウントの取り合いだ。家を一歩出たら100人の敵がいるんだから。

・・・やっぱり最低だ。自分に対して優しさをもって手加減してくれる親に打席に立たせるなんて・・・。期待には応えたい。裏切ってばかりだ。最低だ。