クンカクンカ

自分の匂いを自分で知覚するには意識すること。それしかない。精神を集中して一つ一つ確かめるように臭いを嗅ぐ。

俺は元々腋臭だ。それは知ってる、分かってる・・・、体質だからしょうがない・・・。足は埃臭い、脇は鉛筆の芯、緊張したら脇汗がぐちょちょになる、白いシャツは脇のところが黄色くなる。耳垢は湿っている。役満だ。

しかし、別に学生時代に臭いでいじめられたことは一度もないし、通りすがりの人に臭いといわれることなどなかった。バスも電車も普通に乗れたし。

一体、自分からどんな臭いが出ているのか?

今までに通りすがりの人に言われたのは「おしっこの匂い(3年くらい前)」、「ひいおじいちゃんの匂い(1か月くらい前)」、具体的に言われたのはこの2つだけ。ちなみに両方10代の女の子だった。残酷だけど正直だ。

アンモニアなのか加齢臭なのか、それとも日によって臭いが違うのか、嗅ぐ人によって感想が違うのか。

医者に直接、パトムやシーボの事を相談したことがある。全く笑うことなく1時間以上にもわたり話を聞いてくれた。先生は全く臭わないしアレルギー反応も起きないと言った。実際その日先生は一度も鼻啜りもないし、咳もしなかった。嘘をついてるようにも我慢してる風でもなく、俺がしゃべるのを待ってずっと話を聞いてくれた(普通の内科のお医者さんなのに)。人によってはパトムの症状が出ないこともあるのは分かっていたけど、臭いが分かる分からないってことがあるのかと少し疑った。でも、やっぱりどうしても嘘をついてるようには見えなかった。ただ受付の人は嫌そうだったし、待合室ではおばさんがマスクを着けた。

今俺は間違いなく臭いを出している。もしかしたらこの臭いを全く感知できない人もこの広い世界にはいるのかもしれない。でも99%の人は多分感じるだろうし、それを不快に思うと思っている。

正直その中のたった一人の人にでも「くっさ」と直接言われると一日呼吸が浅くなる。「ヴウンンッ」と喉を鳴らされるとすごい落ち込む。匂いを嗅がないように呼吸を止めてるのが分かると申し訳なく思うけどやっぱり傷つく。

どのくらい臭いのか、本当に不思議でしょうがない。自分では分からないといっても信じてもらえないだろうなあ。